2015年4月27日月曜日

歯メイトコラム第4回が配信


お馴染み?となりました、SHOFU歯メイトコラムの第4回が4月15日に会員向けに配信されました。非会員の皆様は5月15日の一般公開までお待ちください。

しかしいつものように、コラムのチラ見せをしちゃいましょう。今回のテーマは「イノベーションはどこにある?」と題し、イノベーションだイノベーションだと騒ぐマスコミを斜めから見て、歯科界はどうあるべきかを考えています。

それから「おまけ情報」は見えるようにしてあります。何やら気になる事が書いてありますね!?

2015年4月26日日曜日

栄養療法 ただいま準備中・3 分子整合栄養医学


こちらからの続きです。

をお読みになった方の中からは「あぁ、それはオーソモレキュラー療法の事ですね」という反応をいくつかいただいてます。正解です、早い人は早いです。

血液検査からその方の栄養状態を解析し、栄養素の過不足を食事やサプリメントで積極的に改善させ、治療や予防に応用しようという動きが注目されています。これは「分子整合栄養医学」とか、「オルソモレキュラー」と呼ばれており(私はどうもこの名称が好きではないのですが…)、本来必要なものを補給するというすごく当たり前の、しかし忘れられていた一番大切な事を追求した治療法です。

今までやってきた治療は、患者さんの毎日の食生活に何ら異常がない事が前提だったわけです。ところがほとんどの現代人はすでに新型の栄養失調の状態になっており、それに気づかないまま治療が行われて行きます。

しかし治療が一通り終わってメンテナンスの段階で、必ずと言っていいほど問題になる事があります。それが「歯ぎしり」による、人工物や歯本体の破損です。

これが栄養とどう関係しているのかというと、炭水化物(糖質=米・パン・菓子・果物など)を食べる事に続く血糖値の急上昇と急低下に伴って歯ぎしりが発生する場合がある事が解ってきたのです。


上のリンクの図にあるように、血糖値とはかなり乱高下する事が解っています。それに伴う一症状に歯ぎしりがある所に注目が集まっています。

私たちのところには、極端に全身状態が悪い方はいらっしゃいません。みんな一見正常ですから、治療はとりあえず進める事はできます。しかし1にも書いた不定愁訴や体調不良がここまで頻発している事態を無視するわけにはまいりません。

また栄養療法は歯周病やインプラント周囲炎の予防に大きな効果が期待でき、メンテナンスを標榜する私たちに新しい柱が加わる事になります。

***

という事で、吉田歯科診療室デンルメンテナンスクリニックでは「栄養療法」を本格的に開始します。以前より細々とやっていた栄養解析をもう少し前面に出し、皆様の未来を明るくするお手伝いをして行きたいと思います。

しかし食事の摂り方など日常のアドバイスを行うには、私も衛生士もまだまだ経験不足、また今の診療時間内にカウンセリング時間を加える事はちょっと難しい状況です。

そこで、実はとっても素敵な方を栄養カウンセラーに迎える事になっています。そしてその方のご紹介も兼ねて、この栄養療法をご紹介をするオープンセミナーを5月下旬に予定しています。


2015年4月23日木曜日

 日本顕微鏡歯科学会をやってきた WDさん初登壇!


恒例?となりました日本顕微鏡歯科学会第12回学術大会をやってきました。参加だけじゃなく運営ですから、、、

今回は学会本体以外に大会の運営にも関わっていたのですが、他の委員があまりに良くやってくれたので、私はコチラに集中。

実はWDさんが初登壇なんですね、しかも歯科衛生士シンポジウムに。もう、ずーーーーーーと準備をしてきたのですが、なんと言っても初舞台ですから、傍で見ている私も緊張いたします。


上の写真は出だしの一幕、冒頭くらいはPCの前ではなく、前に出て挨拶するように言っておいたのですが、なかなかカッコイイぞ!


その前に私は、久しぶりに座長で3席をこなしまして(PC接続不良のため2分ほど空き時間ができてしまい、適当にしゃべってしまいました…)、


少しくらい質問もしたりします。演者に質問がないのは失礼ですよね。知ってる先生には「質問をしてくださいね」と言って回ります。大会を盛り上げるのは聴衆です。

その他、理事会〜評議員会〜総会を仕切るという、いつもながらの裏方でございます。


さて上の写真はWDさんの出番直前、余裕のピースサインです。


ムム!意外に落ち着いているぞ!前日の懇親会での酒が効いているせいなのか?声も上ずらず、普通にしゃべっているではないか!


スタッフはニコニコ、私はこの隣で引きつっていますが…


無事終了し、登壇者3名で全体討議。吉岡さんも上田さんもカッコイイ!


山本大会長から感謝状が贈呈されます。ありがとうございました!


最後はみんなで記念撮影。良い思い出になったのではないでしょうか。


最高の笑顔だね!


 感謝状は診療室のフロントにしばらく飾っておくつもりです。左はオマケ。


なお次期大会は、来年4月23日から札幌です。みなさん、今からスケジュールしておきましょうね!

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さて、学会としてこの歯科衛生士シンポジウムは4回目、今や歯科衛生士も顕微鏡をガンガン使い結果を出す時代です。その効果はそろそろ言い尽くされた感がありましたので、今回のシンポジウムは、先輩から後輩に伝える教育はどうあるべきかをテーマにしてもらいました。

教科書もお手本もなく、手探りで覚えた顕微鏡のスキルをいかに後輩に伝えて行くのか、やはり皆苦労をしています。



WDさんは私と一緒に仕事をして13年、よくよく考えてみれば何を教えてきたわけではありません。全部彼女が私の動きを盗み、診療方針を理解し、自分で組み立て直してきた結果で、それが今回の発表に結びついたわけです。

今回のシンポジウムでは彼女の1年目の顔写真を一瞬だけ使ってみたのですが、まぁそれは別人も別人。立場は人を変えると申しますが、その典型かもしれません。誰が見ても明らかに今の顔の方がイキイキした女性に見えるわけです。逆に言えば、誰もが駆け出しの頃とはそういうもので、そんな時代を乗り越えて来たからこそ話せる内容を素直に嬉しいと感じる事ができました。

初回にしてはいきなりの大きな講堂でプレッシャーもたいへんなものだったと思いますが、滑らずによくやったと思います。この日のために喜んでコンピューターを買い、診療の合間を縫ってプレゼンを組み、一人でリハーサルを重ねてきた努力が実る、、、スタッフの活躍が自分の事のように嬉しいのは非常に不思議な気持ちです。

大会は特別講演や別のシンポジウムなどの目玉が揃い、歯科衛生士シンポジウムの注目度は低かったかもしれません。しかし並行して行われるテーブルクリニックに行かずに一橋講堂に残ってくださった方の数の多さをみると、そうでもなかったのかなと思うのです。

どこの歯科医院の先生も、歯科衛生士にも顕微鏡を使ってもらいたい、そう思っているはずです。それにより患者さんが喜んでくれる姿は、私たちの一番の励みになります。学会の成すべき事の一つに、第二第三のWDさんを輩出する事もあるのかと今さら気づきました。

学会運営とは完全なボランティアで苦労は絶えないのですが、若い人の夢を現実レベルに引き上げる事はなるほど楽しいものです。後進を育てながら、もう少し頑張ってみようと思います。学会並びに大会運営に携わっていただきましたすべての方々に感謝申し上げます。

なおこのシンポジウムの内容は、例年通り11月に発売になる某誌YearBookに掲載予定です。WDさんはこれから原稿執筆にかかります。みなさん、読んでやってくださいネ!


2015年4月13日月曜日

PDTは歯周病治療の次の一手となるか?

最近、歯科系商業誌などに、PDT(Photo Dynamic Therapy = 光線力学療法)という治療法が掲載されまして、一気に知名度が上がったような感じです。

PDTとは主に癌の治療に用いられている方法ですが、歯科では歯周病や感染根管などの病原菌を叩くのに応用されています。

実は当診療室でもFotoSanというPDTセットを使用しておりまして、まだそれほど症例数をこなしているわけではないので多くは語れませんが、雑感を少々。


PDTは光感受性薬剤というものを用います。癌治療の場合はこれを静脈注射すると、薬剤は癌細胞に選択的に取り込まれます。そこに外からレーザーなどの特殊な光を当てると薬剤が活性酸素を放出し、癌細胞だけが死滅するという理屈です。

歯科口腔外科では浜松医科大学が行ってきた舌癌治療の研究実績が有名で、手術や抗癌剤に頼らないという事で注目されて来ました。私はレーザー歯学会レーザー治療学会などで講演を拝聴してきましたが、なんといっても癌細胞だけが選択的に死滅するのは何とも魅力的です。

一見素晴らしいと思えるPDTですが、少しだけ副作用があります。薬剤が取り込まれるのは癌細胞だけでなく脂肪細胞にも若干入り込むので、蛍光灯でも容易に日焼けしてしまうのです。なので治療期間中は暗い遮光部屋で過ごす必要があります。また光を舌の中に通すのがけっこうたいへんで、ここでは詳しくは書けませんが、まだまだ改良の余地があるそうです。しかし今後の発展にたいへん期待しています。


さて、歯科の場合は病原菌がターゲットになります。薬剤は静脈注射ではなく歯周ポケットや根管内に直接流し込むので、日焼けの心配はありません。

癌治療で使う光感受性薬剤は、フォトフィリンとかレザフィリンという非常に高価なものなのですが、歯科ではそんな事はありません。

現在私は上の写真にあるように三種類の薬剤を試しています。基本的にメチレンブルーやジアグノグリーンという検査薬に似た色素製剤です。これに主に半導体レーザーを照射する事で歯周病原菌内に活性酸素を発生させ、体に負担をかけずに細菌だけを叩こうというわけです。

抗生物質と違い、細胞毒性がほとんど無視できる・耐性菌を作らない・すでに耐性を持ってしまった細菌にも効くなどの特徴があります。


癌治療の光源は特殊なレーザーなどで何千万円もする大型装置ですが、こちらの光源はそんな大袈裟ではありません。通常の810nmの半導体レーザーでも良いのですが、わたしはFotoSan専用の光照射器を使っています。手術用レーザーのようなハイパワーは不要なので、発熱はありません。


このように、思いっきり眩しいです。この装置の面白いところは、ただ照射するだけではなく、バイブレーターを内蔵し照射中に振動することです。照射しながら薬剤を振動で攪拌し、新しい薬剤が届き続けるようにしているのです。細かい振動で患者さんはちょっとくすぐったい感じがします。


なおFotoSanの薬剤は3種類の粘稠度があり、歯周ポケットや根管治療などで使い分けます。

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さてPDTの評価と言われれば、まだ実感できる段階ではありません。というのは、まず急に腫れてきたという患者さんは、うちにはいらっしゃいませんので、抗生物質の代わりに使ってみたという事はありません(それでも抗生物質は出すべきだと思いますが)。またそれ以外で、これを使ったからすぐに結果が出るような症例には使ってはいけないものだと思うからです。積極策がとれない方や、メンテナンス期に使うべきものです。

歯周病は細菌感染が原因とは言え、感染してしまう環境を作ってしまったのは他ならぬ患者さん自身です。したがってその環境が変わらない限り、何をしても進行を停止させる事はできません。

充分に歯ブラシを動かせてプラークを落とす事ができるようになり、基本的な歯周病治療と虫歯の治療を完了させ、噛み合わせが安定し、それでも深い歯周ポケットがある場合とか、あるいはインプラント周囲炎で積極的な治療が難しい場合などに活躍するものです。もちろん通常の手術で補助的に使っても良いとは思いますが。

殺菌とは目には見えない効果を狙うものであり、結果はかなり時間が経たないと解りません。唯一効果を判断できるのは細菌検査で、適用してからどれくらいの期間細菌が減ったままでいられるかが判断材料になります。

細菌が減った状態を維持するには、患者さんの歯ブラシのテクニックや免疫力に依存する割合が多く、うまく細菌数を減らせてもすぐに戻ってしまう事が解ってしまう患者さんには焼け石に水です。

ところが世の中は結果をあまりに早く求める傾向にあり、PDTもまた飛び道具的に使われがちです。

PDTは器具や薬剤が届かない部分を補い、手術ができないなどの場合の最後の一手として使うべきだと思います。今の所、光感受性薬剤がどこまで浸透しているのかもはっきりせず、私たちとしても効果をはっきりと実感できるまでには至っていません。

しかし歯周治療の維持管理に有力な選択肢が一つ増えた事は確かで、特に若くして歯周病を患ってしまった方には、長い人生を考えるとお勧めしたい方法だと思います。

一つ気をつけなくてはならないのは、このPDTの歯周病などへの応用は日本では未承認であり、治療はあくまで患者さんと同意の上、自己責任で行わなくてはなりません。ですから基本的な歯周病治療はもちろん、レーザーの基礎や安全管理の知識をしっかり持っていなくては使用してはいけません。並行輸入業者はそれをしっかり把握して販売しなくてはなりませんが、現状はどうなのでしょう。

歯周病に一発完治はなく、PDTを飛び道具と考えてはいけません。もちろん上手に使って抗生物質の使用量を減らして行く事は重要です。まだまだ新しい考えなので、基本的な道から外れる事なく現状のプロトコルに当てはめて行く必要があります。夢の治療などありませんので、とにかく結果を急ぎたがる人には不向きな治療と言えるでしょう。

今後は日本の優秀な技術で、細菌の内部まで確実に浸透する薬剤や、選択性の高い薬剤が開発される事が期待されます。

PDTの今後の発展に、これからも注目して行こうと思います。

参考サイト:光殺菌治療(CALL)

2015年4月12日日曜日

日本顕微鏡歯科学会 あと一週間!



学会の事務方をしていると、一年は本当に早いと感じます。恒例?となりました、日本顕微鏡歯科学会の学術大会まで、あと一週間となりました。

今回は多少運営委員を兼ねておりまして、ずーっとミーティングを重ねてまいりましたが、他の委員があまりによくやってくださるので、割と楽をさせてもらっております。

しかしこれでも一応は事務局長の肩書きなので、例によって理事会・評議員会・総会まで仕切らねばなりません。

それからもう一つ、日曜日の歯科衛生士シンポジウムでは満を持して当診療室からWDさんが、ハローキティー細工で完全武装したMacBok Airと共に登壇します!初の大舞台という事でリハを重ねているのですが、当然の事ながら私も緊張します。

今年はまたテーブルクリニックと並行して行われるので、この歯科衛生士シンポジウムにどれだけ人を集められるかわかりません。

しかしおそらくほとんどの先生が勤務している歯科衛生士にも顕微鏡を使って欲しいと考えていると思います。そこでぜひ大会にはスタッフ全員でご参加いただき、院内で両方のプログラムを共有するのが良いと思います。

上の写真は大会ホームページのキャプチャですが、中の写真はその歯科衛生士シンポジウムの打ち合わせをしている所で、それぞれのボスがプレゼンについてアイディアを出しています。場所は何やら見覚えがある所かもしれません(^^)

さて今年は学会初の土曜午前からの開催で、一般演題を増やしました。会員発表こそ学会の要、私は第7,8,9席の座長もやらさせていただきますが、どんな発見があるか楽しみです。

すでに抄録集がダウンロードできるようになっております。さあ、あなたのお目当の演題は、どれですか?皆様、一橋講堂でお会いいたしましょう!

栄養療法 ただいま準備中・2 血液検査ってヘンだ?



こちらからの続きです。

以前にも書きましたが、私たちは歯科では珍しく昔から採血を行っています。少なくともインプラントや歯周外科を行うの予定の患者さんからは、直近の血液検査データーを取り寄せ、内科的な異常の有無を調べます。運良く会社で検診があった方はそれをお持ちいただき、主婦の方など検診をほとんど受けない方は、私が採血します。

検査結果で一番気にしていたのが先の糖尿病で、これは本にも書きましたが「隠れ糖尿病」を発見するためです。主にHbA1cという項目を見て、あとは肝機能を代表する項目などが基準値内にあれば、まぁそれで良し程度にしか考えていませんでした。今思うと幼稚な内容ではありましたが、それでも異常を見つけたことは何度かあり、昨今問題になっている安易なインプラント治療は本当に怖いなと思うのです。

普通の検査以外にも、採取した血液を遠心分離機にかけて、血液中の有効成分を濃縮し、傷を早く治すための材料を造るためにも行います。これはPRPとかPRF・CGFなどと呼ばれ、たいへん重宝しています。これについてはまたいつか書く事に。

で、検査の話に戻りますが、検査結果の右にはだいたい「基準値」というのが書いてあり、その範囲内であれはOKと思っていました。ところが、その決め方というのがけっこういいかげんであることを知りました。

まず、検査会社はたくさんあるのですが、会社によって基準値がだいぶ違います。中にはA社に出した検査は正常範囲内でも、B社では異常と判断されるものがあるほどバラツキが多い。

なんでそんな事になるか調べた先生がおりまして、「御社では基準値はどうやって設定したのか」と会社に訊いてみたそうです。すると、健康そうな自社員を集めて作ったのだそう…すごい大きな会社でもたったの40人程度、小さな会社では10人程度…で決めたのだそうです。基準値は男女で違いますから、その半数で決めたことになります。そんな決め方で良いのかと思ってしまいます。男女だけでなく年齢でも基準値は変わるはずなので、母集団はせめて1000人くらいは要る気がします。

本来なら基準値は会社任せにせず、学会などの学術団体が決めれば良いように思えます。しかし検査とは方法や試薬の違いで、確かに数値は一致しません。会社ごとに基準値が異なるのはもう仕方がない、ならばせめて母集団だけでも増やせればと思います。

しかし、以上はそれほど重要な事ではないかもしれません。こういう事もあるという事実を知っていればいいだけで、疑わしければ、別会社で再検査すれば良いだけです。本当に問題なのは、基準値の「読み方」があまりに単純すぎる事です。

私もおかしいとは思っていたのですが、基準の範囲内に入っていれば正常なのでしょうか?そんな事なら子供でもできますし、少なくとも医者の仕事とは思えません。と言いながら上に書いたような事しかできませんでしたが、本当はもっと深い意味があるはずです。基準値はあくまで基準であり、誰も正常とは言ってません。

普通は検査結果が基準値の範囲内にあれば、「問題なし」と言われます。ところが、実は数値を「上げる要因」と「下げる要因」があり、片方だけならともかく、両方同時に来たらプラスマイナスで相殺され、値は基準値内で正常と判断されてしまいます(これを「マスクされている」と言います)。

内科というのは膨大な検査データーはもちろん、患者さんの顔色や訴えなどを総合して判断する壮大な推理ゲームのような所があるのです。

また、大学で習ってきた画一的な判断は、現実を反映していない事も知りました。例えば有名なところで「AST」と「ALT」という項目があります。ちょっと前まで「GOT」と「GPT」と呼ばれていたいもので、どちらも肝臓がやられると肝細胞から漏れ出してくるので、単純に肝臓病の指標であると習いました。

ところがこのAST,ALPは、本来はタンパク質を別の形に変換する(代謝って言います)酵素のことで、肝臓にだけではなく身体中に広く分布しています。ですから肝機能が正常な人では、タンパク質が足りてるか・機能しているかの指標になります。もちろんそれにはBUN(尿素窒素)など他の検査結果と突き合わせて判断するのですが、だいたいALTが低いと肝臓で糖をうまく造れず安定した血糖値が維持ができなく、極端な眠気に襲われるなど様々な不定愁訴が出てきます(ここでチョコなどを食べては本末転倒です)。ALTの低下はビタミンB6不足で起きやすいので、その補給を考えたりします。



以上はちょっと難しい話になってしまいましたが、血液検査とは単純な数値に一喜一憂できるものではないのです。そしてそこまで読んでくれる内科の先生も意外に少ない事も知りました。私の父も内科医でしたが、はたしてそこまで読んでいたかどうか?もう訊く事はできませんが。

さて歯科はどうする?以上のような診断をする事はほとんどありませんでしたが、前項で書いた症状が無視できなくなった今日、内科の先生に協力してもらいながら対策を積極的に行わざるをえない状況にあります。

という事で、次に具体的に今準備している事をご紹介いたしましょう。



2015年4月3日金曜日

栄養療法 ただいま準備中・1


健康状態が思わしくなく歯科治療が思うように進められない、実はこういう方はとても多く、私たちの大きな悩みとなっています。

例えば、よく知られているのが糖尿病です。体中のタンパク質が砂糖漬けになって機能しなくなる、病名からは想像できないとても恐ろしい病気です。糖尿病の患者さんは、とにかく感染しやすい。傷は治りにくく、歯肉の炎症もなかなか収まりません。ですから歯周病は努力しても軽快せず、インプラント手術は不可。自覚症状がないのがクセモノで、知らないうちに体の老化が加速します。

それから高血圧。歯の治療中はとかく緊張で血圧が上がりやすいものですが、元々が高いだけに、治療中はさらに上がります。私たちは長時間の集中治療が多いので、治療中の血圧やSPO2(動脈血酸素飽和度)というものをとても気にしながら進めるのですが、血圧が180以上になり中断しなくてはならない方はけっこうおられます。

そこまで大病でなくとも、花粉症の悪化や大きな口内炎ができたなどで、治療予約をキャンセルする方はとても多いのです。口内炎なんかは逆にすぐに来ていただいた方が早いのですが、どうもあまり信用されておりません。

さて、以上のようなはっきりした病名がついていればまだ解かりやすいのですが、難しいのが「不定愁訴」、つまりよくわからない体調不良です。

「体調が悪いので明日の治療はキャンセルさせてください」という話もとても多く、こちらも無理してまで来てくださいとも言えず、大切な時間が台無しになるケースは後を絶ちません。本当にもったいない、、、

しかし一番多いのが「本人が気がついていない」体調不良。気づいたとしても、疲労や寝不足・酒のせいにされ、多少のことは放置しても回復すると思っているので、まったく気にかけてもらえません。しかしそのような方に共通する症状に、以下のようなものがあります。
  1. 歯ギシリ・カミシメによる人工物の破損
  2. 歯をていねいに磨いているのにプラークが蓄積する
  3. プラークがそれほど付いてないのに歯肉から出血しやすい
  4. 虫歯や歯周病の進行が止められない
  5. インプラント周囲炎が進行する
などなど。歯ギシリがなぜ体調不良なのかと思われるでしょうが、実は血糖値の制御がうまく行かず、その乱高下に伴って歯ギシリという破壊行動が生じる事があるのです。これは立派な体調不良です。

歯科治療とは、外側から形を変える作業がほとんどです。削って詰めて、入れ歯を入れて、歯石をとって。患者さんが治療とは「してもらうものだ」と誤認するのは、こういう事から来るわけです。自分は口だけ開けていれば、後は何もしなくても良いと思われています。

しかし歯とは骨や歯肉に囲まれ支えられ、免疫により細菌の攻撃から守られています。歯の中には歯髄という神経や血管が走っており、ここにも免疫が働いています。そこが良かれと思って始めた歯科治療という介入に耐えられない、そんな方が意外に多いことに気付きながら、もう30年も経ちました。

しかたがないものと思っていた時代もあれば、鍼や漢方などの東洋医学療法・波動などの代替療法に走った時代もありました。もちろん何も考えてなかった時代も。

ところが最近になって、重大な見落としがあることに気づきました。それは、すべての患者さんは十分な栄養を摂取していることが大前提だったわけですが、実はぜんぜんそんな事はなかったのです。不足や過多があまりに多く、また従来の栄養の常識もかなり見直さなくてならないことが解ったのです。

食生活は変わり、食材も怪しいものが増え、私たちの体に必要な栄養が日々取り込まれているわけではありません。またストレスや有害物質から身を守るために栄養が異常消費され、本来必要だった部分に行き渡らない実態も明らかになってきました。これはもう、新型とか現代型の栄養失調と言って過言ではありません。

ではなぜそれが解るのか?それは「採血」をしているからです。そして、普通は検査結果で基準値の範囲内なら異常ナシと言われますが、それもかなり疑わしい事が解ってきたのです。事項ではそれについて書いてみましょう。


2015年4月1日水曜日

再根管治療の効果・2 再植術

こちらからの続きです。

顕微鏡を使い根管治療を基本通り進めて行っても、どうしても膿が止まらないなどの難かしい状況に出会うことがあります。

根管(歯の中)は複雑ですので、器具や薬剤が届かないところはたくさんあります。また細菌が歯の先端から外に漏れて根っこの周囲に定着すると、どう頑張っても歯の中からの治療では届きません。

こういうお手上げ状態になると、もう抜歯してインプラントにしましょうというパターンがほとんどではないでしょうか。

しかしもし歯の外に器具が届き細菌を除去する事ができれば、事は解決します。方法は二つ、歯根尖切除術(歯根端切除術)と再植術です。

歯根尖切除術については以前かなり書いたので、そちらをご参照ください。

歯根尖切除・インプラントにしない選択肢
歯根尖切除・インプラントにしない選択肢 2
なぜ歯根尖切除の話をしているのかというと...
歯根尖切除 vs インプラント
歯根尖切除 vsインプラント 2

で、ここでは再植術の実際について、CT画像で見ていきましょう。


再植術とは字を見ての通り「再び植える」という意味です。

根管治療の効果がなけれは通常は抜歯です。抜歯すれば、原因は歯にくっついたまま除去されるので、確かに病変は無くなり骨は回復します。しかし歯も無くなるのですから、元も子もありません。

しかし再植術は一度歯を抜きはしますが、それを捨ててしまうのではなく、感染源をお掃除して、また元の場所に戻します。ですから外見上はまったく変わらず、そのまま使って行くことができます。


治療前        治療後



左に治療前、右に治療後のCT画像を並べました。治療前にはかなり大きな病変が黒く写っています。根尖病変は舌側の歯周ポケットと交通しています。これくらい大きな病変があると、先に書いたようにすでに歯の外側に細菌が定着していることが十分予想されます。

根管治療を何回か行いましたが、やはり膿は止まらず、歯周ポケットも改善しませんでした。そこで再植術を行った結果が右の写真です。

病変はかなり改善し、骨が再生してきた状況が写っています。痛みもなく、歯周ポケットも正常になり、冠を被せて現在も経過観察中です。再植術はうまく行くと、これだけ劇的な改善をみます。

ただし抜歯する時に歯の首の部分を損傷させやすいので、最初あった骨が吸収してしまいました。それでも根の先端の骨は著しく回復、通常の根管治療だけではこのような結果にはなかなかなりません。

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再植術は、理屈で言えばたいへんすぐれた治療法です。感染源をかなり的確に除去できるからで、歯根尖切除術より確実性があります。

しかし大きな問題もあります。それは抜歯をするので、その時に歯が割れてしまうリスクがある事と、歯と骨の間にある靭帯(歯根膜)が損傷し、歯と骨が癒着してしまう可能性があることです。

前者は歯そのものが壊れてしまうので、使うことができなくなってしまいます。割れないように注意深く抜歯しようとしても、できない事もあります。後者も多くのの配慮にかかわらず避けられない事があり、やってみなくてはわかりません。

再植術は歯根尖切除が不可能な、第二大臼歯などに適用されます。抜歯するというリスクがあるので、本当に最後の最後の手段です。しかしどうせ抜歯になるのなら簡単に捨ててしまうのではなく、できる事なら良いところを選んで再利用しましょうという考えに私は賛成です。

以上のように、再植術の信頼性は実は今一歩です。だから通常は歯根尖切除術が優先されます。しかし歯根尖切除術は抜歯せずに感染源を除去しようというものですから、アプローチしやすい前歯や小臼歯では可能ですが、第二大臼歯ではまず不可能ですので、再植術は重要な選択肢となります。

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私は、歯を無理してまで保存する事には反対です。残しすぎて後で面倒なことになるケースは実はたくさんあります。そしてこの再植術は、無理な処置の一つと言って良いと思います。しかしどうせ抜いて捨てるなら、、、という割り切りなら良いと思います。

マスコミがインプラント批判をしたためか、無理をしてでも歯を保存しようという風潮があります。しかし何事も無理はいけません。無理なインプラントはいけませんが、無理な歯の保存もいけません。もちろん無理な入れ歯もだめです。

しかし無理ぜず安全策をとろうとすると、逆に患者さんが受け入れてくれないケースもかなりあり、私たちは良い意味での妥協点を求めいろいろなご提案をいたします。再根管治療はニーズが大きいにもかかわらず、良い結果をもたらす事が難しい分野です。しかし諦めるには早すぎるのも事実、チャレンジしてみる価値はあると思います。判断は非常に難しいですが。

私たちは可能性を信じて精一杯努力します。しかし結果がともなわないことももちろんあります。努力は保証できても、結果まで保証できない、それが医療の特殊性と言われています。理不尽と思われるかもしれませんが、それが現実です。ですから、このような面倒な治療をしなくてもすむよう過去を反省し、今あるその歯を将来同じような目にあわせない事、すなわち予防が何より大事です。

治療を通じ未来の自身について考える、その大切さが少しでもお解りいただければ嬉しいです。

追記:さらに詳しい解説はこちらでご紹介しております。CT動画もご覧いただけます。