2015年12月31日木曜日

2015年 大晦日


大晦日となりました。今年も一年間無事に過ごすことができ、ご支援いただいたすべての方に感謝いたします。

今年はというと、まず原稿の量がとっても多かった、、、診療以外はそれに振り回された一年でした。プライベートは元より、学会事務も思うように運ばず、ご迷惑をかけてしまった方もおられたと思います。この場を借りてお詫び申し上げます m(_ _)m

しかし、思いを形にするという作業はどこかでやらなくてはならず、それを集中して行う機会があったことは良かったと思っています。特に松風さんからご依頼いただいたコラム6本は後から続けて読んでみると、僭越ながらまずまずだなと思ってしまいます。

自分の原稿以外にも他人の原稿チェックや編集会議もあり、たいへんでしたが良い勉強もできました。しかし締め切りがある仕事って、イヤですね σ^_^;

そして大きな変化といえば、栄養医学療法が本格化したことです。ブログにもかなり挙げましたが「隠れ栄養失調」の状態を無視したままでは、もはや医療も経済も成り立たないことが解りました。来年はこれをいかに解りやすく伝え、診療に反映してゆくかが大きな課題です。

栄養医学療法はもちろん自分にもやっているのですが、不覚にも今年は二回も喉をやられ、また今現在肩を痛めており、ちょいと苦労しています。診療に影響はないのですが、年末の大掃除でいつも私がやっているエアコンのフィルター掃除ができず、スタッフが率先してやってくれた事が嬉しかったです。

そのスタッフは栄養医学療法をよく理解してくれており、患者さんへの説明もたいへんやりやすくなっています。よくついてきてくれているなと、感謝です。

大晦日となり、私は今もうすぐ86歳となる母と二人で福岡に来ています。こうやって年末年始に一泊旅行ができるのも、あと何年続けられるかはわかりません。母をはじめいろんな人を見ていると、どうやって人は年老いて問題を発症して行くのかが良く解りました。

解った次は対策です。医療は大きな見落としをして来ました。それを歯科・口腔外科の立場からどう社会還元するのか、幸い私達は保険医療機関ではありませんので、自由な方法でアプローチが可能です。来年はそんな新しいチャレンジが始まります。自分自身がワクワクしております。どうぞお楽しみに!

写真は私の家の前に今咲いている「ジュウガツザクラ」という、早咲きの桜です。しかしモタモタしていると、本当に桜が満開になってしまいます。救う人がいる以上は残された時間は少ないと言わざるをえません。来年はスピードアップしてまいります。どうかよろしくお願いします。

ではみなさま、酔い(?)新年をお迎えください!

2015年大晦日
吉田歯科診療室 デンタルメンテナンスクリニック
代表 吉田 格


2015年12月30日水曜日

栄養医学療法のご案内

栄養医学療法のご案内です。パンフレットと同一の文章です。


隠れ栄養失調とは
ほとんどの医療は「あなたは毎日問題ない食事をしており、栄養は十分摂れている」という事を前提で進められています。しかし調べてみるとほぼすべての方に、タンパク質不足・脂質異常・糖質過多・ビタミンミネラル不足・ストレスや煙草、飲酒による栄養の過剰消費など、何らかの異常が診られます。モノが溢れている時代なのに、まるで戦後の栄養不足の時代が再来したようで、私たちはこれを「隠れ栄養失調」と呼んでいます。このような状況を無視していては、最新の医療技術も薬剤も、十分な効果が期待できません。

内科的アプローチ
ふつう歯の治療というと、削って詰めて、型取りして人工物を入れ、汚れをとって見た目をキレイに…と、外側からカタチを変えることばかりでした。これを「外科的」と言い、それなりの効果を発揮してきました。しかしそれでも効果が十分でなかったり後遺症が出やすい患者さんが多数おり、さらには不定愁訴で治療が思うように進まない方も。その背景には隠れ栄養失調が潜んでいるかもしれません。このような状況を改善するために、血液検査と食事記録から栄養状態を解析し、細胞に最適な量の栄養を補給する「内科的」なアプローチが必要で、それが「栄養医学療法」です。

体の中からも支える
歯は骨に支えられ、歯肉に守られています。脳の指令で筋肉が動き、顎の関節が動きを制御します。隠れ栄養失調があると、骨は細菌に負け、歯は噛む重さに耐えられず、入れ歯もインプラントも長く使う事が難しくなってきます。骨や歯肉に十分な栄養を送り込み、本来あなたが持っている生命力を取り戻す、体の中からも支える新しい治療が必要です。従来からの外側からの治療と併用し、歯科治療に大きな効果をもたらします。

普通の検診とは違います
検診などで行われる血液検査は、主に重大な肝臓病や腎臓病などを発見するようにできており、基準値内に入っていれば何も言われることはありません。しかし基準値とはあくまで参考であり、誰も正常とは言っていません。検査値は様々な要因が複雑に絡み合って上下するもので、基準値内にあっても実は異常なことがよくあります。栄養医学療法は検査データーから体を構成するタンパク質や脂質の新陳代謝を調べ、不足や過剰を読み解き、細胞が要求する栄養量に届くような改善案を提示します。普通の検診とは検査項目や読み方がまったく異なるので、健康保険の適用も難しいのが現状です。


糖質は歯ギシリの原因にも
過剰な栄養の代表は糖質です。虫歯の原因になるだけでなく、実は歯ギシリの原因にも深く関わっています。糖質とは砂糖はもちろん、米・パン・麺・芋などで、これらを食べると血糖値が急上昇します。それを下げるために膵臓からインシュリンというホルモンが出てきますが、下がりすぎて一旦低血糖になります。すると今度はアドレナリンなどの興奮系のホルモンが出てきて血糖値を上げて行きます。しかしこれも上がりすぎて、またインシュリンが出る…という過程が繰り返されます。この乱高下に伴って歯ギシリなどの異常行動が出る場合があり、糖尿病でなくても糖質は控えなくてはなりません。歯ギシリは最終的に歯や人工物を壊す一番大きな原因で、マウスピースなどで解決できるわけではありません。栄養医学療法で積極的に改善して行きましょう。

専任のアドバイザーが担当
栄養は日常の食生活そのものですので、生活の改善が必要です。医学的なアドバイスに加え、生活面のカウンセリングをアンチエイジングアドバイザーとして活躍中の看護士を専任アドバイザーとして迎えます。

栄養医学療法は
このような症状の予防や改善に
大変有効です

  • 歯周病 歯肉炎 口内炎 口角炎
  • 歯肉の炎症が改善せず型取りができない
  • 手術後の治癒不全 不快症状
  • 歯ギシリと、それによる歯や人工物の破損 神経麻痺
  • インプラント周囲炎
  • 知覚過敏
  • 花粉症や鼻づまりで歯科治療ができない
  • 体調が悪く治療が続かない
  • 糖尿病による歯科疾患
  • 不定愁訴

不定愁訴とは
「だるい」「疲れぎみ」など、なんとなく体調が悪いのだけど、原因が不明でついつい放置しがちな症状「不定愁訴」と言います。このような方は隠れ栄養失調の可能性がたいへん高く、そのような状態で歯科治療を行っても思うような効果が得られません。
  • 体調不良で治療のキャンセルが続く
  • 30分程度の診療に耐えられない
  • ラバーダムが苦しい
  • 麻酔の圧力に負けて、針の跡が潰瘍になる
  • 単純な虫歯治療でも神経が損傷する
  • 外科的な治療をした後なかなか痛みが消えない

パンフレットのダウンロードはこちらから
    ↓   ↓   ↓
http://www.y-dc.org/_userdata/eiyouigaku.pdf


2015年12月28日月曜日

歯髄細胞バンクのセットが到着


iPS細胞の発見により、再生医療がたいへん現実的になってまいりました。で、その元となる幹細胞をどこから持って来るのかというと、実は歯の中にある神経「歯髄」が最も使いやすい事が解っています。特に良いのが、
  1. 乳歯
  2. 矯正治療で抜歯する小臼歯
  3. 親知らず
です。若ければ若いほど再性能が高いので、特に若い人におていは抜いて捨ててしまうのではなく、凍結保存をしてみてはいかがでしょう。今はまだどのような再生が可能なのかは未知数ですが、再生医療は明らかに、そして確実に進化いたします。

遠い将来、大きな病気や事故にあってしまったとき、治療のために体の一部を再生できる日が来ているかもしれません。その日のために、今から若い細胞を保管しておく価値は非常に高いと思います。

12月25日に、そのための送付キット一式が到着しました。まるでクリスマスプレゼントのようです。自分のために、お子様の将来のために「歯髄細胞バンク」というものがあることを、ぜひ覚えておいてください。

確かに使わずに済む事が一番良い事なのですが。

参考:歯科における再生医療
http://koyu-ndu.gr.jp/home/?page_id=456

2015年12月23日水曜日

読んでおきたいネタ・2



読んでおきたいネタシリーズの第2回目です。スタッフ間で共有されている最近の医療関係の話題を公開いたします。

第1回で書いたように、ここに挙げてある内容のすべてが正しいわけではありません。決して鵜呑みにせず、よく読んで自分で判断するリテラシーが必要という事です。信じる信じないはあなた次第です。

ただし、私たちはここにあるコンテンツを有力な 情報としています。さてあなたの意見はいかがでしょう?

***


「所得が低いほど栄養バランスが悪い」というニュース。しかし、これまでの推奨栄養バランスに照らし合わせると・・・

筋肉が溶けていく!?コレステロール降下剤、スタチンの怖い副作用

所得低いほど高い喫煙率、歯少なく肥満者多い

低所得者ほど米・パン摂取 厚労省調査、野菜・肉類は少なく

どれが本当なの?時代と共に変化する、アメリカの脂肪食品と健康に関する歴史

白砂糖は覚醒剤と類似するほど危険

セルフホワイトニング

南雲吉則先生の「命の食事プロジェクト」始動!

脂肪肝完治、薄毛解消も 「1日3個の卵」がカラダを変える

現代の咀嚼回数は弥生時代の6分の1

マンガで分かる糖質制限 第4回「コレステロールは悪くない!」

認知症「1000万人」社会がやってくる!〜人類史上かつてない異常事態。残念ながら、もう手遅れです。

糖質制限食で見事に改善なのに、止めろと言われた!?

「オリーブオイルはヘルシー」は大嘘!「本物」をうたった粗悪品が蔓延

「偏差値が高いだけの医師」はなぜ危険なのか

混合診療問題を蒸し返す「患者申出療養」は誰のための制度か

事実上の「混合診療」解禁、16年4月にスタートする「患者申出療養」とは?

白米中毒…白米は最も危険な「マイルドドラッグ」の一つ

糖質制限ダイエットは危険!死亡率増?脳卒中や糖尿病、内臓障害の恐れ

糖質制限中に食べてはいけない意外な食材・惣菜Best5

食生活で代謝は確実に変わる。代謝を上げる食習慣10か条!

鎧塚氏、なお美さんの病気にも触れ…「がんのえさ」糖質制限訴える

そのニキビ、砂糖が原因かもしれません

あなたは大丈夫? スイーツ食べ過ぎで認知症になるケース

食生活で代謝は確実に変わる。代謝を上げる食習慣10か条!

糖質制限メニューを探す

日本人は何もしないためなら何でもする

糖質制限食の危険性について再度考えてみました

新入社員と就活生に覚悟して欲しい「学生と社会人の違いって何でしょう?」

卵の黄身がコレステロール豊富なのは、ヒヨコの身体をつくるために必要だから

サラダ油は本当に危険!がんや糖尿病も 「油漬け」で子どもの糖尿病や脂質異常症増加!

川島なお美も実践した「代替医療」。ニセ医学に詳しい医師が、その功罪を明らかに

歯を削り、詰めて安心する日本人。しかし銀歯の下は虫歯菌まみれ。根本から違う日本人の虫歯の考え方。

今すぐやめて!健康に良いフリして実は体に悪い食べ物まとめ

果物

知的であるかどうかは、五つの態度でわかる。

くらし☆解説 「高齢者は注意!"フレイル"ってなに?」

スウェーデンにはなぜ「寝たきり老人」がいないのか

えっ、「お金がないと糖尿病になりやすい」ってホント!?

結局、全部企業の洗脳「本当は髪を洗えば薄毛になり、肌水をつければどんどん肌が弱くなって、歯は磨けば磨くほど虫歯になる。」

いま、なぜ生活保護レベルの『下流老人』が急増しているのか?

台所のアレを塗って流すだけ!風呂場の黒カビをたった5分で撃退する裏ワザ

がんより怖い“低栄養”…65歳以上の6人に1人!100日後生存率50%!

「献体」申し出た男性の覚悟、東北大の実習に密着

乳幼児、歯磨き中事故注意! =救急搬送、昨年40人―転倒口内けが、1歳児多く

「平成26年度近畿大学卒業式」 堀江貴文氏メッセージ

アルコール摂取後に取るべき栄養素

マンガで分かる心療内科・精神科in渋谷 第63回「『私、バカだから』と言う人の正体。

歯科衛生士、歯科助手についてのあるある

妊娠前からの糖尿病、胎児遺伝子に影響か…九大

医療保険制度を知れば、歯医者さんの費用が見えてくる!

歯科医のジレンマ。日本の保険診療が抱える闇と治療費の裏側

飲み物の糖分に関する強調表示の違い【微糖】【低糖】【無糖】

医療も産業だ! 常に患者の目線に立つ医師が「国民皆保険制度」を批判する理由

医療も産業だ! 常に患者の目線に立つ医師が「国民皆保険制度」を批判する理由

日本の医療のゆくえ

なぜ高額な最新治療に積極的に関わらないのか 天皇の執刀医Dr.天野篤の「危ぶめば道はなし」【12】

なぜ日本人は世界最長寿国でありながら、歯抜け・寝たきり大国になったのか。予防歯科を知らない哀れ日本人

医療費40兆円、12年連続で最高額を更新
 
 
 

2015年12月22日火曜日

良著3冊



面白そうな本が立て続けに発刊されております。最近の光文社新書は良いものが多いですね。年末で忙しいわ、電車は混んでるわ、読めずにたまって行く一方です (> <)…

  1. ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか 宗田哲男 http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334038892
  2. 慢性病を根本から治す 「機能性医学」の考え方 斎藤糧三 http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334038861
  3. 白米が健康寿命を縮める 最新の医学研究でわかった口内細菌の恐怖 花田信弘 http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334038953
歯科界からは、ついに花田先生が登場です。今年中に読めるかな?早く年賀状ださなくては (-_-)…

2015年12月21日月曜日

栄養医学療法のパンフレットを造りました


栄養医学療法を口頭で説明するだけでは理解していただくのが難しいので、やっとですがパンフレットを造りました。完全オリジナル、すべて吉田の手製です。フリーの素材を集めて造りましたが、いかがなものでしょう。これでだいぶ説明が楽になりました。



春ころから40名以上の方に採血をさせていただき、食事記録と合わせて栄養解析をいたしました。すべての方で栄養の過不足は明らかでした。現在改善案を出して実施していただいているところですが、年末年始の食生活はちょっと危険ですね(^_^;

そろそろ二回目の解析に入る方もおられますので、改善がどのようなものかが楽しみです。

2015年12月20日日曜日

インプラント周囲炎の外科的治療の実際

先に「インプラント周囲炎の治療には外科的治療と内科的治療の併用が必要」と書きました。では外科的とは具体的にはどのような手立てになるのかを簡単にまとめてみましょう。


その前に、一般的なインプラント周囲炎の治療とは、具体的にどのような内容なのかを挙げてみますと、
  1. 歯科衛生士による徹底したブラッシング
  2. 歯科医師による噛み合わせバランス調整
  3. 歯肉内のインプラント周囲の超音波洗浄(金属製ではなくプラスチック製のチップが使われ、薬剤が入った洗浄液を使います)
  4. 抗生物質の注入と内服
  5. 以上を定期的に継続して行う
1と2は当然ですが、3と4はどうでしょう。残念ですが、焼け石に水です。

インプラント本体の表面は、骨と早く強力にくっつけるために「ヤスリのようなザラ目」になっています。そこには細菌が簡単に潜り込んでしまいます。

また「ネジ山」がありますので、器具を入れてもネジ山に当たってなかなか深くまで入りません。したがって、ちょっと洗った程度ではたいした効果はありません。

抗生物質は腫れた歯肉には効きますが、そもそもの原因であるインプラント表面にくっついた細菌には無力です。これは歯周病の治療が困難な事とまったく同じ理屈です。

インプラントは歯より複雑な表面構造をしています。歯でさえも難しいのに、インプラントでは、それ以上のことを考えてあげなくてはなりません。

**

では、私たちが行っているインプラント周囲炎治療の具体例です。まずはレントゲンから。


こちらの写真は、右下の第一大臼歯(6番と言います)のインプラント周囲炎のレントゲン写真です。


緑の矢印が骨が吸収している部分ですが、この程度の写り方であれば、まだ「軽度」と判断されると思います。しかしレントゲンの写りとは、実際より軽症に見える場合がほとんどで、それを見越して判断しなくてはなりません。下に示す通り、実際に治療中に骨を見てみると、骨の吸収量は確かにレントゲン以上です。




こちらはCTの画像ですが、頬側の骨がなくなっている事がわかります。

今一つ不可解だったのは、インプラント周囲に白いラインが写っており、まるで硬い骨(皮質骨)のように見える部分があることです。これは何だったのかは、後で解ることになります。

**

さてたいへん残念ですが、インプラント周囲炎の治療、すなわち感染源の徹底除去は、また手術が必要になります。

つまり、、、、麻酔をして、また歯肉を開かせてください、、、でないとぜんぜん届かないのです…

インプラント周囲のお掃除には、以下のように、そこそこの機材が必要です。
  1. エルビウムヤグレーザー
  2. 顕微鏡
  3. β-TCPパウダーと、その噴射器
  4. チタン製ブラシ
  5. PDT(光殺菌)
  6. PRF PRP CGF
この中でどうしても必要なのが、エルビウムヤグレーザーと顕微鏡です。

β-TCPパウダーは、できれば仕上げに欲しいところです。

チタン製ブラシは無くてもだいじょうぶですが、手術を早く終わらせるためにはあった方が良いと思います。

PDTは基本的に不要なのですが、手術でも手が届かない部分に補助的に用いる場合があります。

PRF PRP CGFはここでは詳しくは書きませんが、本人の血液を遠心分離して造られるもので、場合によってはあったほうが良いのですが、今回は使っておりませんので割愛いたします。

***

さて実例です。写真つきでちょっと怖くて申し訳ないのですが、インプラント周囲炎は大きな社会問題ですので、あえて掲載いたします。このような事実が多いという事なので、もちろんそうならない工夫が最初から必要です。

治療はすべて顕微鏡を用い、細部を拡大して行われます。なお写真は、顕微鏡から動画撮影されたものです。


上物(冠)を外すとこんな感じ、もちろん歯肉の上からでは中の骨の状態はわかりません。



麻酔をして歯肉は剥がし、骨を直接見てゆきます。この状況では解りにくいのですが、実はインプラント周囲に骨は無く、歯肉(本当はは結合組織って言います)に置き換わっています。



まずこれを除去するのですが、ここで使うのがチタン製ブラシです。歯肉がおおまかに除去され、インプラント体表面もある程度お掃除できます。早いです。

しかし実際には、本来くっついていたはずの骨とインプラント体の間にわずかに隙間があり、そこに歯肉が潜り込んでいるのが見えます。それをきちんと見て、取り残しがないよう確認するためにも顕微鏡が必要です。

顕微鏡で観察すると、骨の中に白い粒が入り込んでいるのが見えます。これは「骨補填剤」と呼ばれるもので、最初にインプラントを入れたときに骨が足りない部分の補充用に使われたものです。

補填剤は骨ではありませんが、それ自体が吸収され骨と置き換わる事が知られています。ただし100%置き換わるわけではなく、残ったままだったり吸収されたままで歯肉に置き換わる部分もあります。もしかしたらインプラント周囲炎が拡大する、一因だったかもしれません。レントゲンで白く写っていたのは実はこの骨補填剤が残留していたものでした。



エルビウムヤグレーザーは、ムシ歯を削るときによく使われるレーザーですが、骨の整形にも安全に使えます。30ミリジュールという一番低い出力で狭い隙間を拡大しながら、よけいな歯肉を除去して行きます。また同時にインプラント体の表面も洗浄除菌してゆきます。

広く骨が吸収されている部分は簡単なのですが、狭い部分はやはりたいへんです。昔は回転器具で削っていったものですが、振動がひどくて患者さんには負担がかかっていました。またインプラント体表面を傷つけてしまい、後で移植する骨とくっつく事が障害されてしまいます。現在はエルビウムヤグレーザーのおかげで処置はたいへん楽にできるようになり、しかも清掃の確実性が上がりました。

ただしレーザー用の先端チップは消耗が激しく、この治療だけで新品を使い切ってしまいます。



エルビウムヤグレーザーで清掃された後はこんな感じで、再生の障害となる歯肉の残存はありません。反対側はこのように鏡で確認します。



エルビウムヤグレーザーである程度骨の整形ができたら、β-TCPパウダーを吹きかけて洗浄します。洗浄が行きわたる形に骨が整形されている事がポイントです。狭すぎるところには、パウダーは入って行かないからです。

エルビウムヤグレーザーだけでも十分という意見もあるのですが、照射ムラは絶対にありますので、私は補助的に使っています。ただしレーザーが入らない部分はパウダーも入って行かないと思います。

さらに位置的にどうしても入らなそうな部分がある場合に限り、PDT(光殺菌)を併用しますが、今回は使っていません。



洗浄が終了したら、何もしないで閉じていた時代もあったのですが、現在はすべてのケースにおいて、ご自身の骨を移植します。ちょうど後ろ側(親知らずがあった所)から骨を採りやすかったので、丸く削って採らさせていただきました。



丸く採った骨を細かくして、インプラントの周りを埋めて行きます。



ほぼ埋めきったところです。最後は傷を縫い合わせて終了です。お疲れさまでした!


****

辛抱強くここまでお読みいただいた方、ご苦労様でした&ありがとうございました m(_ _)m

「こんな苦労、絶対にヤダ!」と思われた事でしょう。しかしこれでも解決する保証はありません。できる限りの事をしても、細菌感染は除去しきれたわけではありません。本当に除去したければインプラントを撤去し、骨を造った後で新しいインプラントを入れ直すしかありません。もちろん場合によっては、その方が良い場合もたくさんあります。どちらが良いかは、医学的な判断と患者さんのご希望しだいです。

さてインプラント周囲炎の治療で最も重要なのは「同じ過ちを決して繰り返さない」という事です。上記の治療は、複数の原因が絡み合って生じたもので、事前に解決できることは先行してやっておかなくてはなりません。そこに内科的はアプローチである「栄養医学療法」があるべきです。

私たち臨床家は比較実験というものができませんので、はっきりとした科学的根拠を示す事はできません。しかし骨が再生するために必要な栄養素は解っており、免疫力も含めて予め解決しておきたいものです。

インプラント周囲炎の治療は、喫煙や糖尿病があると厳しいのですが、そうでなければ早めに手を打てば間に合う可能性があります。しかし自覚症状がほとんどありませんので、手遅れになりやすいものです。進行するとこのような治療をして、やっとどうか?というものです。

ですからインプラントをご使用の方はきちんと定期健診を受け、たまにレントゲンで診断していただいてください。もちろん残っているあなた自身の歯も。そして残念ながらインプラント周囲炎ですと言われたら、その程度を訊き、原因解決を徹底し、今後どのような処置が必要かを必ずお聞きしてください。絶対に「しばらく様子を見る」など消極策にでないよう、ご注意ください。

《関連サイト》


2015年12月18日金曜日

口腔インプラント学会(岡山)に行ってきた・3 インプラント周囲炎と栄養医学療法

だいぶ遅くなりましたが、こちらからの続きです。


さてそうすると、インプラント周囲炎とは避ける事ができない現象のように思えます。インプラントの長期経過を調べてみると、5年くらいは平気なのですが、7年目くらいから周囲炎が目立ってくるという話もよく聞きます。

ではこれを防止するために、現在どのような事が行なわれているのでしょう。先に書いたように、当然歯科医院で行われるメンテナンスが必要です。もちろん、毎日の歯磨きができていての事で、その確認のためにも定期的に歯科医院でチェックしてもらう必要があります。できれば簡単な細菌検査をされた方が良いでしょう。

しかし、それだけで良いのでしょうか?それでも間に合わないかもしれません。ここらかは私たちの見解ですが、鍵になるのは「内科的」なアプローチであろうと思います。

噛み合わせを削って調整したり、歯ブラシで清掃する、時には分解掃除をする、これらはすべて歯やインプラントの外側から手を入れますので「外科的」と言います。

では内科的とは何か?それは体の内側から対策をして行きましょうという事です。

歯もインプラントも骨に支えら、歯肉に守られています。顎の関節で動きを制御され、脳の命令で筋肉が動きます。これら全ては、細胞にきちんと栄養が供給されつづけていなければ十分機能いたしません。

すなわち骨は細菌に負け、歯は噛む重さに耐えられず、インプラントは長く使う事が難しくなって行きます。骨や歯肉に十分な栄養を送り込み、本来人が持っている生命力を取り戻す、体の中からも支える新しい治療が必要になります。もちろん従来からの外科的な治療との併用が前提です。

また一見無関係に思えるハギシリによるオーバーローディングも、じつは糖質過多で発生している可能性が高く、食べ物や食べ方を変える事でインプラント周囲炎の予防はかなり現実的なものになると思います。

私たちの体は、昨日まで食べてきた物で出来ています。体は新旧が常に入れ替わっており、分解して処理される一方で、コピーが造られ刷新し続けています。そこに栄養不足があれば、何かしらの不具合がでてきます。さらに細菌による攻撃や荷重負担が加われば、何年か後でインプラント周囲炎になることは十分予想できます。

ほとんどの医療は「あなたは毎日問題ない食事をしており、 栄養は十分摂れている」という事を前提で進められていま す。しかし調べてみるとほぼすべての方に、タンパク質不足・ 脂質異常・糖質過多・ビタミンミネラル不足・ストレスや、飲酒による栄養の過剰消費など、何らかの異常が診られ、この状態を私たちは「隠れ栄養失調」と呼んでいます。

超高齢社会問題において対策の基本となるのは、細胞に十分な栄養を補給する内科的なアプローチです。インプラントにおていは、歯科医師が治してやってるような形ではなく、患者さんも何も考えずに従うだけでなく、自分で何ができるかを考えなくてはならない時代になっています。食べ物とは、それほどおかしな状況になっているのです。

インプラント周囲炎に限らず、歯科と栄養医学との関係は、まったく一般的な話ではありません。しかし今後間違いなく必要な健康の知識として定着するはずです。しかし行政がそこまで考えてくれることはありません。そのことについてはまた後日書こうと思います。

さて岡山で解った事、それは一般的なインプラント周囲炎対策の見解とは、まだまだ根本的なところまでは行っていないということです。すなわち栄養医学の応用をどんどん進めてゆく必要がある、それが改めて示された事でした。


2015年12月10日木曜日

肺炎に注意!

先ほど患者さんから、野坂昭如さんがお亡くなりになったとお聞きしました。ウェブを見ると、肺炎のためとありました。ご冥福をお祈りいたします。

高齢になると免疫は落ちるので、肺炎は当たり前のように考えられていますが、高齢者の肺炎はほとんどが口の中の不衛生が原因で、プラークが喉に持続的に流れ込んでゆく事が問題になっています。これを「誤嚥性肺炎」といいます。

したがって高齢になる前にきちんと歯を治し、正しい歯ブラシの習慣を身につける、そしてできるだけ炭水化物をエネルギー源としない、タンパク脂質を重要視した食生活に変えてゆく必要があります。

野坂氏の死を無駄にせず、我々はどうあるべきかを論じる事は大切だと思います。

合掌

2015年12月7日月曜日

DHstyle 12月号 ”見える”を手に入れよう


今年書いたものの中で一番長くてキツかったのがコレ、DHstyle 12月号(デンタルダイヤモンド社)の特集「”見える”を手にいれよう 拡大視野がもたらす憧れのハイジニストワーク」です。



オーバーコンテンツはお約束、しかし編集部は意地で規定ページに収めてきました。若干詰め込み感のあるレイアウトはそのせいです。

歯科衛生士がマイクロスコープやルーペを使い「見える」を手にして行く過程を、物語形式で綴ります。物語はピンクの枠で、全7話。そこだけ読んても楽しいと思います。時に真剣に、時にフザけ、しかしマジメに書いております(・_・)




もちろんマイクロスコープの説明もキッチリ、しかも日本顕微鏡歯科学会認定歯科衛生士取得の参考にもなる症例入り!

意外に守られていない「正しい姿勢」についても。これだけ中身をバラしますと、大切なのは、

 ・背筋を伸ばす
 ・重心を崩さない
 ・脇を締める

の3点です。メチャメチャな姿勢でマイクロスコープを使っている人ってかなり多いんです。もちろん、そうならざるを得ない時も多いのですが、できるだけマイクロスコープに合わせて体を動かす事がないように初めからクセをつけて行くことが大切です。


マイクロスコープの普及率は3%くらいらしいので、臨床で活用できる歯科衛生士はまだ少ないとは思います。しかし「ルーペ(拡大鏡)」もまた有用であり、マイクロスコープと競合するものではありません。得手不得手を把握し、適材適所で使いたいものです。巻末にはなんと、ルーペのミニカタログまで用意しました。

また最後には学会の宣伝までさせていただき、たいへん恐縮です。

マイクロスコープを使っている歯科医師は、一緒に働いている歯科衛生士にもマイクロスコープを積極的に使ってほしいと思っています。この記事を見て、一人でも多くの歯科衛生士が拡大視野に興味を持ち、臨床で患者さんを救ってもらえればなと思っています。


DHstyle 12月号は、デンタルダイヤモンド社から発売中です。売り切れないうちに、買ってしまいましょう。なおチラミしたい方、上記から立ち読みができます。

***

さて誌面に登場したMKさんはすでに退職しており、先日ついにお母さんとなりました \(^o^)/ そのため新しいスタッフを募集しているのですが、なかなか応募者が現れません。

この記事を見て、マイクロスコープって覗いてみたいなって思った衛生士さん、一度見学に来てみませんか?そして私たちと楽しいい診療時間を過ごしてみませんか?ご連絡は下記まで!

やっと飾りつけをしました






例年なら11月下旬には終えるクリスマスの飾りつけ、やっとやりました。いつものように、例のキャラクターが満載です!

忙しいというのは理由にならないとは言いますが、今年は診療以外にもいろんなイベントや原稿が集中しており、このブログもぜんぜん更新できず、、、、、

今週末にもう一山ありますが、そのあとはどんどんアップして行きます。それまでは、この画像で和んでください m(_ _)m

2015年11月29日日曜日

日本レーザー 歯学会 第3回 教育研修会


本日は、東京医科歯科大学にて、日本レーザー歯学会の教育研修会&症例報告会です。抄録集の編集と印刷を全部自前でやるという自虐的な事をしております。

2015年11月3日火曜日

「レーザー歯科専門医」を標榜しよう!


歯科医師の皆さん、「レーザー歯科専門医」を正式に標榜したいと思いませんか?以下はそれを実現させるための最後のご案内です。

日本レーザー歯学会では11月29日(日)に「歯科用レーザー研修会」を開催いたしますが、11月16日にまでに参加登録を済ませ、さらに学会員になられた方は、その後の学術大会などで研修単位を全て取得すれば、3年後には現行制度にて学会認定医試験の受験資格が与えられます。合格後に学会会員数が規定以上に達していた場合、速やかに標榜可能な専門医制度に移行することが確定しています。この機会を逃すと新制度による受験となり、非常に難易度が上がりますので、この機会での取得をお勧めしております。

高価なレーザーがあるのに活用できていない先生、技術があるのに広告規制で泣いておられる先生、この機会を是非ご活用ください。詳しくは学会ホームページ、およびデンタルダイヤモンド誌5月号「スペシャル座談会 専門医制度発足 レーザーが導く歯科治療の未来」をご覧ください。

2015年9月24日木曜日

口腔インプラント学会(岡山)に行ってきた・2 オーバーローディングとインプラント周囲炎

岡山での口腔インプラント学会での話題の続きです。



インプラント周囲炎の原因は、ざっくり言えば「細菌感染」と「オーバーローディング」の二つです。

「細菌感染」は歯周病とまったく同じで、想像がつきやすい。ただ、骨が途中まで無くなっても、インプラントが歯のようにグラグラすることはありませんので、気がつかない人がほとんどです。メンテナンスや定期検診で注意深く診なければなりません。

「オーバーローディング」とは、咬む強さがインプラントに集中しすぎ、その圧力が伝わった骨がコレはたまらんという事で、インプラントの周りの骨が逃げてゆくようなものです。

歯というものは微妙に動いて行くのですが、インプラントはまったく動かない。ですから最初は良くても、徐々にバランスが崩れてゆきます。しかしあまりに”徐々”なので、自覚する方はおられません。メンテナンス時に噛み合わせの調整をしなくてはならないのは、こういう理由からくるものです。

では噛み合わせの調整をして、強力な負担がインプラントにかからないように調整すれば元に戻るのかと言えば、戻ることもあれば、戻らないこともあります。この差はどこから来るのかと言うとまだ詳しくは解っていないのですが、私は先ほどの細菌感染の程度で差が出るのではないかと思っています。

インプラント周囲炎による骨の欠損は、歯肉に近い方から始まります。歯と違ってインプラントは歯肉と接触しているだけでくっついてはいません。なので周囲から骨に細菌が到達するのは容易です。だからきちんと磨けてないと困るのです。

さて細菌が多い状況でオーバーローディングになるとどうでしょう。インプラントは骨とガッチリくっついていますので、絶対に動かないことになっています。ところが骨とは言え、強力な力ではわずかに歪む(変形する)ので、ミクロで見れば骨とインプラント本体の間にわずかに隙間が開きます。この隙間に細菌が吸い込まれたらどうでしょう?

噛む圧力から解放されれば隙間は閉じ、細菌は排出されそうですが、中には残留するものもいるでしょう。そのような機会が頻繁にあれば、また細菌の量が最初から多ければ、残留する細菌は増えるでしょう。その細菌が定着して増殖すれば、いくらその後で歯を一生懸命磨いても、インプラント周囲炎になって行くでしょう。

このような咬む圧力による隙間への細菌のポンピングと残留は、虫歯の世界では良く知られた現象です。歯ぎしりで歯に亀裂が入り、その隙間が開く時に細菌が入り込み、しだいに虫歯になってゆく現象は、顕微鏡が使われるようになって明らかになった現実です。骨の中でも同じような事がおきているはずです。

力の問題とはひじょうに難しく、特に歯ぎしりはある程度しかたがないものと諦められています。過大な力により、インプラント周囲炎になる人もいれば、上に被せた冠が破損する人、筋肉や顎関節を痛める人、相対する歯を壊してくる人、など多様です。

しかし定期的な噛み合わせ調整で、トラブルは最小限にする事ができますので、インプラントを既にご利用でありながら検診を受けてない方は、メンテナンスシステムを持つ歯科医院にてできるだけ早く診てもらいましょう。

口腔インプラント学会(岡山)に行ってきた・1 メンテナンスとインプラント周囲炎


シルバーウィークは、岡山で開催された日本口腔インプラント学会に参加してきました。岡山はもう15年前ほど前に講演をするために行ったことがあるのですが、その時の滞在時間わずか4時間、そのうち講演が3時間で、もちろん観光などできませんでした。

今回は二泊三日でしたので、そこそこ余裕があり、写真のように二日とも朝ランをすることができました。岡山城後楽園日本三名園の一つ)まで、ホテル兼学会場から1.5kmとちょうど良い距離でした。知らない地を走るのは楽しいものです。


さて学会ですが、インプラント周囲炎の話題を選んで聴いて廻りましたが、やはりそもそもインプラントの適用ではない患者さんにインプラントが行わた結果であることが解ります。

歯周病の問題が解決していないままだったり、長期メンテナンスの仕組みがないまま行われていたりと、システムが不備なままただインプラントが適用されているだけという様相が見え隠れします。

本来は患者さんにメンテナンスの必要性を伝え同意がなければ入れ歯やブリッッジにするべきでしょう。しかしそうすると健康保険との差を出しにくいのでインプラントに走る、そういう事が多いのではないでしょうか。

患者さんとしても、歯が無い部分にインプラントをしてもらえばそれでよい、他のところはいじらないでほしいという気持ちが強いのだと思います。しかしインプラントはそれ一本で成立しているわけではなく、隣の歯や相対する歯はもちろん、左右上下全ての歯が良い状態でなくては成立しません。このようなトータルでリスクを低減してゆかなくては、長く使ってゆく事はできません。

単純なムシ歯治療でもそうなのですが、「とりあえず」とか「行き当たりバッタリの穴埋め」では長い人生の途中で必ず問題をおこします。問題がおきてもまた元通りに治してもらえると多くの方が思い違いをしていますが、もちろんそんな事はありません。

インプラント治療に限らず歯科治療を選択するときに、その歯科医院にきちんとしたメンテナンスシステムがあるかどうかを調べる事は、あなたの人生を左右する事に直結いたします。ぜひ慎重にお選びいただきたいものです。インプラント周囲炎の現状を見るまでもなく、改めて強く思うものです。

2015年9月20日日曜日

隠れ栄養失調の読み方・1 総蛋白


「新陳代謝(しんちんたいしゃ)」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「新陳」とは「新旧」と同じで意味、「代謝」とは体の中の様々な物を新しいものに入れ替えるための「分解と合成」と考えて良いでしょう。つまり新陳代謝とは「体の旧い部品を、新品に入れ替える作業」という事になります。

実は私たちの体の部品は、日々新しいものと入れ替わっています(*注)。食べ物を溶かして分解し、呼吸した酸素を使いながら、生きるために必要な部品やエネルギーを合成しています。これら一連の行程が「新陳代謝」で、生きている限り黙っていても勝手に進んでいきます。だからオナカが空くわけです。

で、今問題になっているのが、この代謝の「質が悪い」とか「不十分」という状態。原因はざっと分けると以下の3つです。

 1・低栄養____タンパク質・油・ビタミン・鉄や亜鉛などの食事量が少なすぎ
 2・過剰消費___栄養が過剰に消費され、本来行き渡るべき所に届かない
          ストレス・不眠・不適切な運動など
          消費ではないが、女性は生理で鉄などが定期的に消失する
 3・阻害因子___炭水化物・酒・タバコ・食品添加物などの悪影響
          胃炎による栄養吸収の障害
          加齢による代謝効率の低下
          歯の欠損

個々についてはまた後で記しますが、この3つがそろわなくても、1つでもあれば「隠れ栄養失調」です。代謝を行うのに必要な材料が足りていないので、「疲れやすい・ダルい・治りにくい…」が頻発し、あらゆる治療を難しくします。

なのに当の本人はゴハンは食べているので、まさか「栄養失調」だとは思っていませんし、一般的な検査でもそんな事は言われません。だから「隠れ…」なのです。

だいたいの医療は「患者さんはちゃんとした食事をしており、栄養状態に問題はない」という事が前提で治療が進みます。ですから治療のために積極的に食事指導をしたりサプリメントで栄養補給をすることはほとんどありません。ところが血液検査をするとどうでしょう?例えばこの方は…



総蛋白(TP)が6.8というのはかなりギリギリ低い、7.4は欲しいところです。また、アルブミン(Alb)は、円滑な代謝を進めるためには4.5以上は欲しいところです。通常の血液検査では、重大な病気があるかどうかを読む事が主体なので、とりあえず基準値内であれば異常とは言われません。

しかしタンパク質の代謝量を考えると、両者とも基準値内に入っているとはいえ、低すぎです。実際この患者さんは麻酔注射の跡が残ったりしやすく、そういえばいつも疲れ気味で風邪もひきやすく、治療が計画通りに進みません。

実は血液検査と同時に一週間分の食事記録もつけて持ってきていただくのですが、それを見ると多くの患者さんはまずタンパク質の量が決定的に少なく、このような結果は容易に予想されます。つまり代謝の質や量が悪いのです。しかし本人はいたって普通だと思っています。



一方この患者さんは誤った食事療法により低栄養となり、糖尿病もあることからインプラントの手術が延期となっている方です。このような状態で手術をすると傷の治りが遅くなり、感染のリスクが高まります。

不利な条件でも注意深い手術をすれば一見うまく行ってるように見えますが、長期的にはインプラント周囲炎を発症する可能性が非常に高くなります。歯科医療は今までこのような眼を持っていませんでした。

ただし総蛋白は脱水や感染で増減しますので、数値だけ見ても一概に評価できるものではありません。また採血する時間や運動後などでも値が変動するので注意が必要です。

また以前にも書いたように、基準値とはあくまでその検査会社の社員をサンプルとして造られた参考値であり、だれも正常値だとは言っていません。もちろん社員の方が選りすぐりの健康人であったとはちょっと考えられず、他の因子も勘案して推察するのが本来の医者の仕事です。基準値に入っているから正常と言うのでは、小学生でもできることですね。

最近「糖質制限」という食事法が、減量や糖尿病治療などに極めて有効であることが知られるようになりました。米・パン・麺・菓子・果物などの「炭水化物」を徹底的に食べず、血糖値の上昇とそれに続くインシュリンの分泌を抑えようというもので、私はこの方法に賛成しています。

しかし炭水化物を摂らない一方、体を造る(代謝に必要な)原材料であるタンパク質と脂質は先行して充分に摂っておく必要があります。ところが単に炭水化物を減らしただけで、原材料を補給しないままという誤った方法を行ったため、かえって体調を悪くした方が多数おられるそうです。

原材料が乏しい状態のままでは炭水化物が活動エネルギーとなっている状態ですので、いきなりその炭水化物をカットすれば確かにフラフラになるでしょう。

すなわち糖質制限を実行する場合は、まず原材料であるタンパク質と脂質を充分摂るようにし、徐々に糖質をカットしてゆく必要があると思います。

実はタンパク質を食べる上限量とは、ぜんぜん解っていません。普通の生活をしている限りは食べ過ぎて異常になる心配はないようですので、肉・魚・卵・豆・チーズなどは、好きなだけ食べて良いというのが最新の見解です(**注)。

ただし食べ物はよく噛んで胃腸が消化しやすい状態で飲み込む必要があるのは、今更申し上げなくても良い常識かもしれません。したがって歯がない事は、そのまま「阻害因子」になります。


*注:歯のエナメル質と象牙質、目の水晶体には代謝はなく、新旧の入れ替わりもありません。つまり一度失うと自然に治ることはありません。ですから虫歯は削り取ったあとに人工物で補う必要があり、水晶体がクモって白内障になると人工の眼内レンズを使用する必要があります。

**注:MECと呼ばれる肉・卵・チーズ(Meet Egg Cheese)を主体に食べましょうという方法がありますが、それだけではビタミンCや食物繊維が摂れませんので、野菜や発酵食品も当然必要です。(151025加筆)



2015年9月15日火曜日

SHOFU 歯メイトコラム 第6回(最終回)が一般公開に


一年間、隔月で発行してきたSHOFU歯メイトコラムもついに最終回、すでに会員には8月15日に配信されておりますが、非会員向けにも一般公開されました。「夏のウルサイ奴」の正体が明らかになります(^_^)

さてこのコラム、テキストなのになぜか写真で使うJPEGで配信されておりまして、文字検索にヒットいたしません。PDFじゃないんです。解像度も悪く、印刷してもボケた感じで、どうもいただけません。一生懸命書いた文章なのに検索にもかからないのは不本意だったのですが、許可を得ましたので下にテキストデーターだけ公開することにしました。

それからすでにお伝えしておりますように、まったく歯科とは関係のない畑違いのところで、さらに短い文章を毎月提供して行く事になりました。先週そのゲラを見せてもらったのですが、ちょっと楽しみです。話題はちょっと重たいですけどね。そちらの発刊されしだいお伝えいたします。

なおこのSHOFU歯メイトコラムは全編こちらからご覧いただけます。全部読み直すと、じぶんながら面白いです。

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吉田格の「歯界良好」 第6回 夏のウルサい奴の生き様


この原稿は7月に書いているのですが、すでに蝉(セミ)がミ〜ンミ〜ンとかジージー鳴いております。

この蝉、ウルサいし、なんか怖いし、オシッコはするし、どちらかというと嫌われている虫ではないかと思います。あの音を聞いているだけで暑苦しくなるという人も多いようで、決して「虫の音」などと風情ある言われ方はしません。たまに玄関先でバタバタしてるのがいると、虫嫌いのウチの家族は皆ギャーギャー騒ぎます。しかし寒いのより暑い方を好む私にとって蝉の声はなんとも夏らしく、声を聴き目を閉じれば昔の情景が浮かびあがり、けっこう和ませてもらえます。

蝉はとっても不思議な生物として小学校の理科で習います。どうやって調べたのかは解りませんが、地中に7年も住んだ後に地上に出て、一週間飛び回り鳴きまくり死んで行くと。子供の頃にそう聞いても別にフ〜ンで終わっていたのですが、50歳代半ばで生死をマジメに考える年代ともなると、蝉のように天寿の最後を華々しく謳歌する生き様を羨ましく思うようになりました。

友を亡くし、親を亡くし、患者さんにも亡くなった方も増え、さて自分の死はどうあるべきかを考えた時、そういえば蝉は一生のうち一番華やかな時期が最後の一週間にあることに気がつきます。ムム、これは究極のPPK(ピンピンコロリ)ではないか!

蝉は彼ならではの責任を地中で果たし、最後にご褒美を神様からもらっているように思えます。人は蝉とは違いますから、ご褒美をもらえるにしても人生の最後にやっと…ではなく、おそらくどの時点でも小出しに貰えているのでしょう。それに気づく事が感謝である、って事にすると丸く収まりそうです。

では、人がご褒美をもらえるために果たすべき責任とは何でしょう。種族を残し、人ならではの文化を継承し発展させて行く…ってところでしょう。しかし現代人は神に背き歪な文化を創りあげてきたせいか、どうもご褒美をいただけてるように見えない事があります。その代わりにいただいたのがきっと疾患で、それに対抗すべく発達したのが医療なのかもしれません。

私達は少なくとも80歳まで生きる事を前提に考えねばなりません。資産形成や年金と同時に、健康の預金もきちんと考えるべきですが、どうも健康や病気を医者や薬任せにしている人が目立つ。人生の最後を楽しむための健康預金を、多くの人は先に使いはたしていないでしょうか。

蝉の鳴き声とはただウルサイのではなく、実は人にもっと楽しい終末像があるヨと訴えています。そのために医療は「ただ受けるもの」から「考え参加するもの」に転換するよう、医療界は進言して行かねばならないでしょう。そもそも医療は人のワガママまで許容するものではなかったはずですから。

さてこのコラムは今回で終わりますが、Blogの「歯界良好」では、引き続き何気ない日常から得られるヒントをアップしています。良かったらたまに覗きに来てくださいね。

【おまけ情報】デンタルダイヤモンド誌8,9月号の「マイクロデンティストリー 拡大視野が歯科を変える」に、それぞれ「移植とインプラント編」と「歯科衛生士編」が掲載予定、ぜひご覧ください!

2015年9月3日木曜日

読んでおきたいネタ・1


診療室内で情報や見解を共有するためにいろんな事をしているのですが、その一つにスタッフ全員のiPhoneにevernoteをインストールし、共有ページを造ってみんなで書き込みをするというのがあります。

そこには仕事上の課題や決まり事・原稿の下書きなどを入れて行くのですが、各自がウェブで拾った時事ネタや経営・歯科・栄養に関する情報などなど、仕事に直結した情報を書き込める「読んでおきたいネタ」というノートがあり、日々項目が増えています。

とある患者さんにその話しをしたところ「私も見たいワ」ということで、一部を公開することにしました。

以下がそれなのですが、注意していただきたいのは、必ずしも正しい情報ばかりではないとうことです。「これを読んで、自分はどう考えるのか」というリテラシーが要求される項目もあるという事です。

皆さんも是非お読みになって、どう考えたかをお聞かせいただければ嬉しいです。こうしてスタッフも患者さんも成長して行く事が、私たちが提供する医療には必要だと思っています。


《高齢者の低栄養》 たんぱく質不足、病気・けが招く

ケトン体は人類の日常的な主要なエネルギー

あなたの子は大丈夫?砂糖が脳と体に与える・怖~い6つの害

肉・卵・チーズの「MEC食」で日々を健康に!

手軽で高栄養 オンナ心つかむ「スーパーフード」

5分前行動のすすめ 時間通りはすでに遅刻 

これだけはやめて!本当に健康に悪い食習慣

最近、首・肩が痛い…スマホの使いすぎかも 利用時の姿勢、見直し改善

小4の1割、おじさん化?…肝機能・脂質に異常

ヤンキー化する歯科医があなたの財布と命を狙っている

マンガで分かる糖質制限ダイエッ 第9回「糖質制限って大丈夫!?」

「がんからの生還者」から学ぶ「治る人」の共通点

キシリトールの虫歯予防効果、証明できず―国際NPOが評価

医療否定本の嘘

歯の俳句

インスリンと現代社会

蛋白脂質食3原則

糖質制限で何故か「食後も満たされない」人へ

糖質制限、パターン別

すわ棄権! 錦織圭のネックは「歯並び」なのか

星野リゾートグループは禁煙者を採用しておりません

まるでオレオレ詐欺。「コレステロールが体に悪い」はウソだった

コレステロール、好きなだけOK? 上限値削除の理由は

糖質制限 セミナー 医師 亀川寛大

「コレステロール値」の嘘 第1部 理事長を直撃! 「食事制限」はまったく無意味だった

「コレステロール値」の嘘 第3部 意味のない「コレステロール値」で儲けている人たち 利権になっていた

そもそも料理に砂糖など使ってはいけない!病気の危機呼ぶ ウソだらけの料理研究家

惜敗! 錦織圭がグランドスラム制覇できない理由は「小麦」か

最近話題の低血糖症しってますか

肉の生食は死の危険!ハンバーグや焼き肉、ホルモンのレア焼きなど危険で愚の骨頂

「コレステロール値」の嘘 第1部 理事長を直撃! 「食事制限」はまったく無意味だった

ダイエットの効果が出ない? それカロリー摂取量じゃなく糖質コントロールが重要ですよ!

歯科医500人が被害!?患者紹介は?業者直撃

これが「意見を聞かない人」の精神構造だ 自分の都合ばかり押し通す人が急増中

悪玉コレステロール値が高いのは、お酒の飲み過ぎか

朝食でパンを食べることが、人間の脳と体を完全に狂わせる。

入社10日で辞めていく新入社員に思う、採用担当者の本音と葛藤…

ダイエットの敵!食べるともっと空腹感を招く食品9選

「コレステロールは体に悪い」は嘘だった!?

「どーせ無理」を無くしたい…世界を感動させた町工場のおっちゃんのスピーチ

マクロビオティックでは白砂糖を使用しない理由は、今後一般常識化する

1日の糖類は小さじ6杯分まで WHOが新指針

WHOが砂糖新指針…炭酸飲料1缶でも超える

患者紹介アプリ:来院保証で被害数億円規模 50歯科医院

砂糖は心身を蝕む危険な食材、脳のエネルギーの嘘 動脈硬化、免疫力低下、うつ病

有吉弘行が語る『芸能人御用達歯科で受けた恐怖体験』

虫歯も病気もない民族

実は医師も知らない栄養のメカニズム「分子整合栄養医学」

医療報道の難しさ 今求められる医療リテラシー

当直医から一般のみなさまへのお願い again

1年の計も一生の計も「歯磨き」から

がん治療、「絶対治る」は絶対信用できない 根拠のない治療法が魅力的に映る理由

がんになっても、あわてない という本を書いた医者の、なんでもブログ。

ヤバい歯医者の見分け方とは? 金目当ての不要な抜歯、危険なインプラントも…

口の健康を意識して健康寿命長くしよう

歯ぎしり、寝汗…潜む意外な原因「夜間低血糖」

コンビニより多い歯科医が悲鳴! なぜ歯医者さんの給料は安いのか

歯医者さんは、なぜ一週間後なのか?

週刊誌がひどい

結果だけが、あなたを守る: 川鍋一朗 at TEDxKeio