2012年2月2日木曜日

「増患」とは何事か?

いやぁ、2月になってしまいました。更新が滞っていて申し訳ございません。

この間、2つの学会の裏方をやっていたり、その関係で新潟に行って、ついでに(?)実家に行っていたり、新しい顕微鏡の検証、そして例のNHK報道の件でいろいろ質問があったり………これらはいずれ小出しにして行くつもりです。あ、もちろん診療もバッチリやっております。

さてそんな事でいろんな人とお話をしていて、どうしても許せなかったのが表題の件「増患」という用語。私が酷評するところの勘違いコンサルが、経営難の歯科業界に対し良く使う言葉です。

「増患」とは読んで字の如く、患者を増やすという事です。我々は健康人を増やそうと懸命になっているのに、病人を増やせと言っている。病人がメシの種にしか見えない人はそういう風に言うわけです。

「いや、そうじゃないんだよ」という声をいただきます。しかしそれは隣の歯科医院から来院者を奪ってきて、自分の所に限って来院者を増やせという意味の増患ですよね。違うんです。

病人はすでにたくさんおられます。しかし病気を自覚し治療の必要性が解っている方は非常に少ない。またたとえ気がついても患者となって歯科医院の扉をくぐるまでがたいへんだ。

それを後押しをし、結果として増患となり、病人が減るのであれば賛成です。従ってコンサルタントは歯科医院ではなく、病人にアプローチをしなくてはなりません。しかし勘違いコンサルは歯科医院にアプローチします。

コンサルタントが病人にアプローチしていただければ「歯科医院過剰」などという事はいっさいなくなります。だいたいこれだけ病人がいて過剰だとは、いったいどこを見ているのでしょう?

目指す所がこれだけ違う人と話を合わせるのは本当にたいへんです。どうか他業種の成功例をそのまま医療に当てはめるのはやめていただきたい。

そういう人が「インプラントを増やしましょう」と吹き込んでいるからあのような番組ができてしまうのではないでしょうか?演出とは言え、出演した手術着を着たあの歯科医師は批判されて当然ですね。