2012年1月4日水曜日

「国民生活センター インプラントの報道発表資料」を読んで・1

コチラでも書いたガイドラインが未だにできない事に業を煮やした行動なのでしょう。しかし、的を射た鋭い部分が並んでいるにもかかわらず、本質はまったく観ていない、上辺だけのプレスリリースです。これをまともに受け止められてしまっては、ますます日本の歯科医療はおかしくなってしまいます。

歯科インプラント治療に係わる問題 
-身体的トラブルを中心に-
すでにご存知の方も多いでしょうが、去年の12月22日付けで独立行政法人国民生活センターより上記のプレスリリースが出されました。またNHKの「おはようニッポン」でその話題がとりあげられました。

歯科インプラントの注意点 NHK News Web

これら対する意見を私はまだ耳にしていないのですが、先に私見を挙げさせていただきます。


報告書も報道も読めば、「そのとおり!」と言わざるを得ない部分はたくさんあります。歯科界全体の問題として重く受け止めなくてはなりません。

例えばP8の広告について。ちょっと見渡しただけでも「〇〇センター」とか「〇〇研究所」と堂々と標榜しているところがいかに多いことか。医療機関は保健所に登記された名称と診療科目・特定の資格名までしか標榜できません(インターネット上はちょっと扱いが違いますが)。

「〇〇センター」とは地方の中核病院などで専門性が極めて高い診療科に限り都道府県の許可を得て標榜できる名称で、「癌センター」や「糖尿病センター」がそれに当たります。「インプラントセンター」や「歯周病センター」は当然違います。

本当に研究や専門性を持った診療をしていればまだ良いのですが、私が知る限りその多くは患者集めのためにカッコを付けようとしているにすぎません。患者さんは混乱するだけです。

P7に並ぶ不幸な事例は、そもそも最初からインプラントの適応症から外れていたのではないかと思いますが、ありがちな話です。

さらにp11からの「問題点」で書かれているのは、「説明不足」の一言です。良い事は説明しますが、そうでない事は伏せられているという事です。それでは困るのでこれを書いたのですが。

【吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック】


ただ一つよく解らないのが【事例5】で、インプラント1本13万円は安いと言っているのに、最後は高額と言っています。いったいどちらなのか、編集者すら混乱しています。

ただしそれ以前に安いには安い理由がある、正しい情報が知らされていなかった事が最も重要です。


インプラント治療は確かにすばらしい。しかしその危険性やうまくいかなかった場合の対処法、さらにインプラントを入れた後の話、つまり「不都合な真実」はほとんど説明されていないのだと思います。いや、歯科治療全般がそうなのです。

これだけ問題が表面化しているのにP11の「ガイドラインがない」というのも長らく問題となってきた事。そもそもインプラントは教育自体がほとんど行われていない分野なので「治療の水準に差があるおそれがある」とはもっともな話なのです。ただし…