2009年2月2日月曜日

歯根尖切除・インプラントにしない選択肢

今年に入って「歯根尖切除」という処置が増えています。今日で4人目になりますが、例年になくハイペースです。

この方法は歯内治療が不可能な場合の最後の切り札として、良く知られた治療です。

根っこの先端に感染源があり、それが普通の歯内治療ではどうしても除去できない場合、普通は抜歯になります。

抜歯になったらその後はブリッジなりインプラントなりを考えなくてはなりません。しかし、できればそうはしたくないという方のために、この「歯根尖切除」はもっと普及して良い技術だと思います。

具体的には、まあ確かに手術にはなるのですが、歯肉を切り(怖がらないでくださいね〜)、骨の中から根っこの先端を露出させます。たいていは嚢胞(のうほう)というオデキのようなものがあるので露出は難しくはありません。

根っこの先端が出てきたらその周囲が感染源ですので、その部分を切って、切断面を特殊なセメントで塞ぎます。

こう書くと簡単(?)かもしれませんが、実はこれがとても難しい。まず普通の器具では根っこの先端を切ろうとしても、機械が入って行きません。ちょっと特殊な超音波器具が必要です。

切った断面を見るためにとても小さな鏡を使うのですが、これは顕微鏡を使わないと見えません。

セメントで塞ぐと行っても、簡単には入って行きません。顕微鏡で良く見て、アシスタントとタイミングを合わせてやらないと塞げません。

そう、そのアシスタントも2名(できれば3名)必要ですし、所要時間も1時間以上必要であるとか、ハードルがけっこう高いのです。手術自体はインプラントと同程度のレベルが必要になります。

先にも書いた通り、この歯根尖切除は歯科医師であれば誰でも知っている治療方法であるにもかかわらず、あまり普及していません。理由は手術の難しさと成功率の低さです。

しかし以上のような方法をとれば、成功率が90%以上であることがわかっています。抜歯を決断する前にぜひとも検討してほしい方法です。